Step By Step -15cmから150cmへ-
date: 2024年12月6日author: h.namba

染や藍染の世界ですごい技術力や表現力を


持った先輩たちや強者がいる中で、


ペーペーの僕が


どうやってサバイブして生きていくか


どういう歩き方をするか?


よく考えます。



染屋としてどんな「強み」を持ち


「特徴」を持っているか?は


きっと同じ境地に立たれている


皆さんも同様に考えて


いらっしゃるのではないかと


思われます。





僕が「かぜつち模様染工舎」と名乗っているのも、


模様に特化した技術を


追求していきたいという強い思いからです。





というのも、20年前、


京都の染屋で丁稚奉公をしていた頃、


当時は景気が低迷していたこともあり、


商社などは国内の染屋に仕事を出す余裕がなく、


多くの企業が中国に依頼をかけるようになりました。


この時、技術力や独自の特徴がない国内の染屋は、


競争に生き残ることができず、のれんを閉じていった過去があります。


(いつもこの話を、生き残っている産地の職人さんと話をする。そーだよねって)




なので歴史は違う顔をしながら繰り返しやってくるって思っていて、


時代が変わり、どんなに外部環境が厳しくても、


自分の技術やスタイルを磨き続けることが、


仕事を守ることなんだなぁと思うんです。




なので絞り染めの事は分らないですし、


やらないです。(型染を活かすものはやってみたい)


店頭でたまにお客さんから「〇〇絞り知らないの?」


って教えていただくこともあります。笑


出来るだけ諦めることを大切にしています。笑




前からずっと目標にしていたことがありまして


150cm幅の型染を染めることです。




以前、化学建ての藍染で120cmまでは染めていたのですが、


正藍染と出会ってから小さな模様からの再スタートでした。




そこから徐々に幅を広げていくという経験を以下に残して


今回、自分のために整理しておこうと思います。




15cm - 家紋

2020年8月頃、最初の一歩は、


お世話になっている猟師さんの


15cmほどのサイズの家紋からスタートしました。






34cm - 手拭い幅


渋紙の規格もあって


一番、染めた幅。


日本人には馴染みのある


使いやすい幅。



50cm - ハンカチ幅

次に挑戦したのは50cm。


幅が広がることで、


少しずつ染める甕や


道具も変わってきました。





80cm - ストール大判の幅

80cmの幅。


技術的にはより難易度が増しました。


風合いの良い素材且つ、


広い幅の生地を両面糊を置く難しさなど、


いまだに頭を打つことが多いです。



90cm - スカーフ幅

90cmという幅に挑戦した時、


面積の大きさとともに、


図案の構成力も


求められるようになってきました。



そして来年は目標にしていた


念願の150cm幅に挑戦。




150cm幅の布を


届けたい相手も明確にあるので


届くといいなぁ。


ぜひ、届けよう。

南馬 久志
卒業後、約3年、染屋で丁稚奉公を行い、その後、益久染織研究所 企画室に在籍。故 前田雨城の色の文化史の運営に携わる。2020年 かぜつち模様染工舎として動き出し、今に至る。

2020

正藍染、台中の風土に触れて


スマホなしで挑んだ東京の一日


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