末長く健やかに使って貰えますように
date: 2020年11月15日author: h.namba

末長く健やかに使って貰えますように

 

こんにちは。染め担当です。

霜が降り、肌寒くなってまいりました。

みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 

子供がすくすくと成長している姿を身近で感じ、

微笑ましくなる毎日を過ごしています。

 

最近の我が子はダルマや仮面、ぬいぐるみを見ては会話をしています。

どうやら顔と認識しているのかなぁ。

 

我が子が愛着を持ち使い続けてくれたらいいなという想いから出発したものづくり。

原料の生産背景がしっかりと把握されて且つ風合いが非常に良く

織り手の顔が分かっているコットンサテンのハンカチを

正藍染と

型染(かたぞめ)

で手掛けようと思います。

 

話が少し逸れますが

型染という染色方法はご存知でしょうか。

型染とは日本独自の技法です。

日本は古来から米作りが盛んな風土で

先人達は餅米から智恵を働かせ「糊」を作りました。 

そして古来より培われた日本の和紙漉きの技術に支えられて

繊細な模様の彫刻に耐えうる「型紙」が生まれ、 

「糊」と「型紙」を用いた「型染」と呼ばれる技法が生まれました。

 

私たちの型染は、以前はビニール系の型紙を使ってたのですが、

柿渋と和紙で作られた渋紙を作る職人さんを応援する事と、

使い勝手の良い点で渋紙に今年から変えています。

 

そして糠と餅米と石灰で糊を作り模様を施しています。

薬品を用いた合成糊もあるのですが、

土に還るものだけで完結したい理由で原料を選んでいます。

 

模様は動物のバクをモチーフにしています。

もともとは中国の伝説の生き物「獏(ばく)」が由来でして

この生き物は”邪気を払う”と言われ、

これが日本に伝わってから”悪夢を食べる”と言われるようになりました。

 

 

化学薬品を一切使わない正藍染は抗菌効果などが期待されるので、

安心してお使い頂けると思います。

 

ですが、模様を施さずに染める無地染めが、

染め重ねが出来て、正藍染の効果効能をしっかりと体感できると考えています。

なので糊を置いた部分と染めた箇所では差があるという見解です。

 

模様の一つの機能として

愛着を持ってもらう事と考えています。

なので模様を施し背景もしっかりとした

風合いが良くて末長く使って貰えるように

検討しています。

 

 

なぜここまでこだわりたいのかなと思った時に

前職で化学物質過敏症の方と出会いがありました。

その方は少しの化学薬品、例えば印刷物に使われている顔料や

電磁波などで肌に火傷のような症状がでる事があり

日々の暮らしもままならないほどでした。

 

前職は、かつて一度も農薬を使った事がない広大な大地で棉を栽培して、

人の手で紡ぎ、明治時代頃の動力織機でゆっくりと織り上げ布を作っていました。

その方は前職の商品は信頼して使えると、

言ってくださいました。

 

世の中にあるオーガニックコットンは生産者に良い労働環境で

働いてもらう為に農薬を使わない事がはじまりでしたが、

近年は肌に気持ちの良いものの購入時の判断基準として

存在していると思います。

 

オーガニックコットン、一般綿、

どちらも「農薬残留度は無い」というのが

当時の検査機関の結果でしたが、

その方は上記のどちらも肌に合わず前職の商品を信頼してくださりました。

 

 

 

正藍染を行う時に心がけている師匠の教え

「分析された数値が全てではない。」

「感じる心を持ちなさい。」

 

 

師匠の教えを胸に、

いつか、肌に悩みを抱えている方に出会った時に

寄り添った提案ができるように

これからも精進していきたいと思います。

 

駄文長文失礼しました!

 

南馬 久志
卒業後、約3年、染屋で丁稚奉公を行い、その後、益久染織研究所 企画室に在籍。故 前田雨城の色の文化史の運営に携わる。2020年 かぜつち模様染工舎として動き出し、今に至る。

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