排水について
date: 2021年9月16日author: h.namba

 

京都は染織業が盛んな街の一つとして有名で、

様々な染織に携わる方々が多くいらっしゃいます。

20歳の頃、右京区のとある染め屋で修行をしていました。

台風が近づいてくると職人の間である話題で持ちきりになります。

その話題というのは、一時的に集中した豪雨などの大雨が降り、

下水の処理能力を超えてしまうと排水処理施設を持っていないどこかの工房から

京都の川に、染色した未処理の水が流れてしまい、

川が何色かに染まってしまう。

職人が心配になり今回の台風は大丈夫か?という話。

京都は超分業体制があり、

集荷に来た蒸屋のおっちゃんや整理屋も、

同じ仕事に携わる他の工房の職人が来ても

台風前はその話でもちきりになります。

僕は目の前のシルクスクリーン型が

台風で飛ばされないかが心配で、

よその工房の話どころじゃないとバタバタ。

結局3年半いさせてもらった間で、

着色された水が川に流れたという話はなかったかな?

記憶が曖昧なので不確かです。

京都市の下水処理の4割が合流式下水道が採用されていて、

極端な大雨が降ったときに未処理水が川へ放流される可能性があるので、

各工房での対応が必要となり、

例えば余った捺染糊などは排水に流さず

廃棄物として出し、大量に出るときは

糊屋さんが持って帰って処理して頂いたり、

近くの浸染をされている工房内には

排水処理施設で着色された水を濾過して

透明にした後、下水に流すなど対応されていたのを記憶しています。

染色は水が大切なので、

なるべく綺麗にしてから排水する。

化学染料を扱っていた工房の方針も

知る限りでは同じ認識だったと思います。

なので化学染料だから

環境に悪いという事では無くて、

扱う人が適切に処理をしているかが問題だと思います。

以前僕が行っていた草木染や

化学建ての藍染なども同じです。

成分がどう作用するのか

把握しきれない場合、

金属の成分を凝集するための処理剤なども

廃水処理の業者さんが販売していますので

おすすめします。

この一年の間、出店を重ねていくと

化学染料が環境に悪いと思う人や

草木染めだから環境に良いと思っている人が

いらっしゃるなと思い書かせて頂きました。

もしよければ、こんなこともあるんだなー

ということをあたまのすみっこに

置いておいていただけると幸いです。

明日から二日間イベントに参加しますので

お声をかけて頂ければ

わかる範囲でお答えできればと思います。

 

宜しくお願いいたします。

 

「アリイの冬と夏 2021 Re.8」

 

日時:2021年9月18日(土)14:00-20:00

           9月19日(日)9:00-16:00

場所:浜松市南区卸本町37

   浜松卸商センターアルラ全館他周辺ビル内

   「アルラ1階 玄関ホール」にいます。

 

入場料無料・雨天決行・無料駐車場250台ございます。

 

 

 

南馬 久志
卒業後、約3年、染屋で丁稚奉公を行い、その後、益久染織研究所 企画室に在籍。故 前田雨城の色の文化史の運営に携わる。2020年 かぜつち模様染工舎として動き出し、今に至る。

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