約20年前、
世の中がインクジェットプリントへと
移行しはじめた頃
人の手による捺染
手捺染のシルクスクリーンプリントの
可能性を探っていました。
そのなかで心惹かれたのが、柿渋でした。
若さゆえの情熱もあり、毎朝染場に早く入り、
柿渋をプリントすることに夢中になっていました。
柿渋液や木酢酸鉄に耐薬品性の糊を混ぜ合わせ、
布の上に色を定着させることはできました。
考えた染色方法はいくつかのブランドにも起用されました。
丁稚奉公として入ったので
修行元にお還しできることが
何よりも嬉しかった。
けれども
広大な染織・テキスタイルの世界を歩むにつれ、
当時の私はその本質に触れてはいなかったのだと
気づきました。
その頃のアーカイブ作品は
長らく封印してきたのですが、
不完全であれ、当時の気持ちは嘘偽りなく
あの時をきっかけで時代に逆走するように
歩んできたのかもしれません。
師との善き出会いによって、
心にあったもやは晴れ、
我が子になって考えること。
これが指針であると感じています。
今回、かぜつち模様染工舎になる
前のアーカイブ作品の展示を
FUJIHIMUROのギャラリーで行います。
ぜひ遊びにきてね。